健全な終末観を持つ!

2023年10月22日主日礼拝 「健全な終末観を持つ!」マタイ24:1~14 佐々木俊一牧師

■現在、イスラエルが大変なことになっています。第5次中東戦争に発展するのではないかと言われています。そのために、ウクライナ戦争の事はニュースであまり聞かなくなるほどに影が薄くなってしまっています。

 今回の戦争状態の発端は、10月7日土曜日のテロ組織ハマスによる今までにないイスラエルへのテロ攻撃でした。この日、イスラエルは安息日の朝でした。その前の金曜日10月6日はイスラエルの三大祭りの一つ、仮庵の祭りの最後の日でした。イスラエルではこの一週間の間、仮庵の祭りで、ずっとお祭り気分だったのです。そこへ今までにないテロ攻撃が起こりました。

■私たち日本人は、イスラエルやパレスチナの事情についてあまり詳しくはありません。どちらかと言うと、日本のマスコミはパレスチナ側寄りの報道をする傾向があるようです。強いイスラエル人が弱いパレスチナ人をいじめていると言うような見方です。しかし、中には、中立的な立場で歴史的な事実を検証しつつ、今回の出来事について語っている人々もいます。彼らのYouTubeを見ると、まず、1947年、国際連合でパレスチナにユダヤ人とパレスチナ人が共存できる一つの国家を樹立することは難しいと判断し、ユダヤ人の国とパレスチナ人の国を別々に作ると言うことが可決されました。イスラエル側はその可決を受け入れましたが、パレスチナ側は受け入れませんでした。すると、アラブ諸国もそれに反対し、1947年11月にヨルダンとエジプトがユダヤ人に当てが割れた土地を奪うために宣戦布告をしました。この第一次中東戦争の中、ユダヤ人は1948年5月14日に独立宣言をしました。こうして、イスラエルはおよそ1900年ぶりに建国されることになったのです。その後、ユダヤ人はパレスチナ人のために当てが割れたヨルダン川西岸地区とガザ地区、そして、エジプトの領土であるシナイ半島を占領することになります。しかし、イスラエルは1979年にエジプトと平和条約を結びました。その際にエジプトの領土であるシナイ半島を返還しています。1993年にはオスロ合意によってガザ地区とヨルダン川西岸地区の一部都市のパレスチナ自治政府による自治が認められ、将来的にパレスチナ国家との和平の実現を目指す形になりました。しかしながら、ガザにおいては、パレスチナ自治政府の力が弱くなり、イスラム原理主義のテロ組織ハマスが実権を握りました。そのため、ガザを基地としたハマスからのイスラエルへのテロ攻撃が激しくなりました。ハマスは、パレスチナ自治政府とは異なり、イスラエルとの和平の実現を目指しているのではありません。イランと同様に、イスラエル国家の抹殺と全滅を目的としています。

■私たちは、イスラエル国家の全滅を目的とする国々や組織による行為を認めてはいけません。それは、神様の御心ではありません。聖書を見るならば、サタンは幾度もユダヤ人の抹殺を試みてきました。旧約聖書では、エステル記がそれを記録しています。新約聖書を見るならば、サタンは幼子イエスをも殺そうしていたことがわかります。そして、ついに、サタンは十字架でイエスを殺すことに成功しました。サタンは神様に勝ったと思ったでしょう。しかし、その逆でした。サタンはそれによって敗北したのです。と言うのは、その事によって、神様は全人類のための救いの道を成し遂げられたからです。真の神様の知恵は本当に偉大です。

 私たちは、イスラエル人とパレスチナ人のどちらかを応援すると言うのではなくて、両者のために祈る必要があります。平和解決を求める多くのイスラエル人とパレスチナ人がいます。しかし、双方の過激派によってずっと平和解決が妨げられてきました。イスラエルとパレスチナの間にある問題の平和解決のために、私たちも祈りたいと思います。

■今回の戦争がどこまで大きくなっていくのか、いつまで続くのかわかりません。もしかしたら、イランがイスラエルに宣戦布告するかもしれません。イスラエル北部からはテロ組織ヒスボラも攻撃を仕掛けてきています。さらに、イスラムの各国では反イスラエルを掲げる声がますます大きくなっています。

 しかし、たとえ大きな戦争に発展したとしても、イスラエルという国がなくなることはありません。聖書に書かれている預言によるならば、イエス様が再びこの地上に戻って来られる時には、イスラエルと言う国が存在するからです。ですから、今回のこの戦争は必ずおさまります。そして、一時的な平和が訪れるでしょう。しかし、その次に来る戦いはもっと大きな戦争です。いわゆる、エゼキエル戦争と言われているものです。エゼキエル書38章に書かれてある戦争です。今から2600年前に、預言者エゼキエルによって語られました。

■聖書の預言の通りに、1948年に、1878年の時を経て、イスラエル国家が再建されました。その後、世界の西から東から、北から南から、イスラエルの民は約束の地に戻ってきているのです。このことについても聖書の預言の成就を見るのです。イスラエル国家が再建されたからには、その次に来るべきことは、イエス・キリストの再臨です。いつの事かそれはわかりません。しかし、イエス・キリストがオリーブ山に再び戻って来られる時には、ゼカリヤ書13章と14章に書かれてあるとおりに、ユダヤ人たちはイエス・キリストこそがメシヤであることを知って、そこでイエスを迎えることになるのです。

 では、その時、私たちクリスチャンはどうなっているのでしょうか。本当のことを言うと、私は終末論について語るのはあまり好きではありません。なぜならば、終末論を語ると、脅しているように思われるからです。最近は、終末論について語る教会が多くなってきていると思います。また、その類のYouTubeも多くなってきています。以前は今のようには多くはありませんでした。終末論を語るのは、だいたい、異端とかカルトでした。仏教系の異端やカルトもあれば、キリスト教系の異端やカルトもありました。オウム真理教はその最たるものですし、統一教会もそうです。文鮮明はすでに死にました。彼はメシヤではありません。ただの人間であり、偽キリストです。現在は、偽教会や偽キリストはもっともっとたくさんあります。この前も、新天地という異端から話を聞いてください、と電話がかかって来ました。全能神教会っていうのもあります。彼らはフェイスブックでよく友達リクエストをしてきます。これらすべては偽キリスト、偽クリスチャンの教えです。ニューエイジにも気を付けなければなりません。羊の毛皮を着て羊のふりをして近づいてきます。でも、バックにはサタンがいます。悪霊がいます。霊だからと言って何でもかんでも受け入れてはいけません。私たちの人生も命も死んだ後のことも、私たちは救い主なるイエス・キリストだけに従わなければなりません。気を付けましょう。サタンは実に巧妙にだまし、私たちを虜にしてしまします。薬物とかポルノとかギャンブルとか、そのようなものと同じ力を持っています。一旦、手を出すとなかなか抜けられなくなってしまいます。ですから、1回ぐらいならいいと思って手を出すと、大変なことになります。気を付けましょう。

■マタイ24:1~2 ここで、イエス様はエルサレムの崩壊について語っています。BC600年代に、バビロンによって破壊されたエルサレムの城壁や神殿は、バビロン捕囚から70年後以来、エルサレムに帰還したユダヤ人たちによって再建されました。そして、イエス様がこの地上におられた時には、エルサレムの町や城壁も、そして、神殿も立派な建物になっていたのです。しかし、それが、また再び破壊されるのだ、とイエス様はここで予告しました。AD70年にその通りになりました。ローマ軍によってエルサレムの町も神殿も破壊され、ユダヤ人たちはその場所を追われて世界中に散らされてしまいました。マタイ24:15以降は、ローマ軍によるエルサレム攻撃についてイエス様が言われたことなのです。ところが、途中から、それだけではなくて、もっと遠い未来に起こる出来事についてもイエス様は語っています。

■マタイ24:3~8 ここでイエス様は、弟子たちに終わりの時のしるしについて尋ねられました。そして、答えるのですが、その前に一言、「人に惑わされないように気をつけなさい。」と言われました。私たちは他人からいろいろな情報を耳にするでしょう。しかし、それらをうのみにしてはいけません。主に祈って、吟味するのです。それはとても大切なことです。

 終わりの時のしるしの一つ目は、「わたしこそキリストだ」と言って多くの人々を惑わす者が大勢現れるということです。終わりの時と言うのはキリストを待ち望む空気も半端ではありません。そんな人々の気持ちに付け込んで金儲けをたくらむ人間もいっぱいいます。私たちは、偽キリストや偽預言者には気を付けなければなりません。

 二つ目は、戦争や戦争のうわさを聞くということです。そういうことは必ず起こるのだ、とイエス様は言います。この戦争はどういう戦争かと言うと、かなり大きな戦争を意味しています。世界的に影響を与えるような戦争です。民族は民族に敵対したり、国は国に敵対したりというようなことが世界のあちこちに見られるようになるというのです。しかし、それは、終わりの時の前兆にすぎません。だから、そんな程度ではうろたえないようにとイエス様は言います。

 三つ目は、飢饉と地震が起こります。これは世界的な自然秩序の混乱であり、天変地異による自然災害です。確かに、ますます気温は上昇しています。あるところでは雨の降り過ぎで洪水になったり、あるところでは雨が全く降らず干害になったりしています。台風やハリケーンの巨大化や山火事の多さ、大きな雹が降ったり等、世界的な気象異常が顕著になっています。

■マタイ24:9~14 ここでは教会に関する終わりの時のしるしについて言われています。四つ目のしるしとして、教会やクリスチャンへの迫害が激しくなってきます。実際に、国によっては拷問されたり、殺されたりしています。日本は今のところ信教の自由は保障されていますが、統一教会問題は教会やクリスチャンに対する印象を悪くしたことは確かです。中国では習近平が国のトップになると、教会やクリスチャンへの迫害が激しくなりました。教会の建物が破壊されたり、指導者たちが逮捕されたり、宣教師が国外追放されたりしています。

 五つ目のしるしとして、外部からの迫害以上に、教会内部の腐敗の方が深刻かもしれません。私は、いのちのことば社の注解書を参考にしているのですが、そこに教会内部の腐敗について書いています。多くのとか大勢ということばが4回も出てきます。それは文脈から言って、多くの信者を指すということです。多くの教会で多くの信者が互いに裏切り、互いに憎み合い、人々を惑わし、愛は冷たくなるというのです。そして、多くの人々が信仰につまずきます。それは、つまり、背教を意味し、信仰を捨てるということです。しかし、外部からの迫害と内部からの背教にもかかわらず、福音は全世界に宣べ伝えられて、すべての民族に証しされ、終わりの時が来るというのです。一方では、神様の御心から外れていくクリスチャンがいますが、けれども、他方では、神様の御心に忠実に従って福音を宣べ伝えていくクリスチャンがいるということです。私たちは、前者ではなくて後者でありたいと思います。

■マタイ24:50~51「そのしもべの主人は、予期していない日、思いがけない時に帰ってきて、彼を厳しく罰し、偽善者たちと同じ報いを与えます。しもべはそこで泣いて歯ぎしりするのです。」

 これは、たとえ話です。主人とは、イエス様です。しもべとは信者です。この信者は、不忠実な信者として描かれています。彼はイエス様がこの地上に戻って来られることに対して備えをしていなかったようです。そのため、偽善者たちと同じ報いを与えられてしまいました。偽善者たちと同じ報いとはどんな報いでしょうか。この信者は救いを失ったのでしょうか。そうではありません。終わりの時に、クリスチャンは天に引き上げられるのです。なぜならば、その後、地上では大変な困難な時代が来るからです。誰もそんな時代を地上で送りたくはありません。しかし、この信者は、引き上げられずに地上に残されてしまいました。ただ、彼は悔しがるだけでした。

 イエス様は私の罪のために十字架にかかって死んでくださったこと、三日目によみがえられたこと、イエス様を自分の救い主と信じているならば、大丈夫です。何も動じることはありません。しかしながら、私たちは、私たちを信仰から離れさせるようとするいろいろな誘惑には十分に気を付けましょう。今の時代にはいろいろな霊的な惑わしがあります。惑わされないようにしましょう。背教じみたようなことはしないようにしましょう。

 イエス様がいつ来られても不思議ではない時代になりつつあります。イエス様が今日来られても良いように、1日のどこかでイエス様の事を覚える、そんな生活をしていきましょう。それは、クリスチャンとしての健全な姿勢です。終わりの時がいつ来ても良いように、いつ来てもあわてないように、日々、心の備えをして生きることが、このような時代、大切なことです。それではお祈りします。