箱の中は安心

2016年6月26日主日礼拝「箱の中は安心」<Ⅰペテロ3:18-22>佐々木俊一牧師

■今日は、私たちにとって、とてもうれしい日です。お二人の兄弟姉妹がバプテスマを受けます。そして、お二人の姉妹がオープン・ドア・チャペルに加わり、信仰生活を共にし、共に神様に仕えるように導かれています。今日のメッセージのタイトルは、「箱の中は安心」というものです。バプテスマや信仰生活と関係のあるお話です。

■聖書には「箱」という意味を持つことばがいくつか出て来ます。そして、それは救いを理解する上で助けとなるようなことばでもあります。英語の聖書では「アーク」ということばで出て来ます。「アーク」は「箱」という意味があります。一番よく知られているのは「ノアの箱舟」です。今日のメッセージの聖書箇所にもあります。ノアの箱舟は「アーク」と呼ばれています。なぜならば、箱のような舟だからです。

■創世記6:13~14を読むと、神様はノアにこんなことを言っています。「すべての肉なるものの終わりが、私の前に来ている。地は、彼らのゆえに、暴虐で満ちているからだ。それで今わたしは、彼らを地とともに滅ぼそうとしている。あなたは自分のために、ゴフェルの木の箱舟を造りなさい。箱舟に部屋を作り、内と外とを木のやにで塗りなさい。」

  ノアの時代、神様は地上に人の悪が増大するのを見て、人を造ったことを悔やんだとあります。そして、人を地から消し去ろうされたことが書かれています。けれども、神様を信じ、神様に従って生きていたノアという人を見つけて、彼と彼の家族を救おうとされました。そして、神様はノアに箱舟を造るように言われました。ノアは神様に言われた通りに、ゴフェルの木で箱舟を造りました。内部に部屋を作り、箱舟の内側と外側には木のやにを塗りました。水が入り込まないようにやにで隙間を埋めたり、腐らないように撥水加工を施したりしたのだと思います。ノアの家族は妻と3人の息子がおり、また、3人の息子には妻がありました。全部で8人家族です。「船」という字は、「舟」に「八」の「口」です。八つの口は、8人の人の象徴かもしれません。もしかすると、この漢字を作った人は、ノアの箱舟の話を知っていたのかもしれません。ノアとその家族は、神様の言われた通りに大きな船を造りました。この出来事は、当時、大きな話題になっていたに違いありません。そして、それを見ていた人々は、ノアたちがなぜそんなに大きな箱舟を造るのか、その理由を聞く機会があったのではないかと思います。でも、人々の多くは、大雨も大洪水も起こるはずがない、なんてバカなことをしているのだろうかと思ったのではないでしょうか。結果はどうだったでしょう。大洪水が起こった時、箱舟の中だけが安全で安心な場所だったのです。神様の言われることを信じて準備をしていたノアとその家族だけは、大洪水から救われました。

■次はモーセのお話です。その中にも、「アーク」が出て来ます。出エジプト記2:1~3を見てみましょう。「さて、レビの家のひとりの人がレビ人の娘をめとった。女はみごもって、男の子を産んだが、そのかわいいのを見て、三か月の間その子を隠しておいた。しかしもう隠しきれなくなったので、パピルス製のかごを手に入れ、それに瀝青と樹脂とを塗って、その子を中に入れ、ナイルの岸の葦の茂みの中に置いた。」

  ヨセフがエジプトの国を治めていた時代から、400年以上の月日が経ったときのことです。ヨセフの父、ヤコブの家族が飢饉から逃れるためにエジプトに住み着いた頃は家族は全部で70人でした。それが400年経つと、20歳以上の男子だけで60万人いたというのですから、全体の数は軽く100万人は超えていたと思われます。イスラエルの民は祝福されて繁栄しました。しかし、それは、エジプト人にとって脅威でした。ですから、エジプト人はイスラエルの民を自分たちの奴隷として扱うようになりました。さらに、エジプトの王は、イスラエルの男の子のすべてを生まれた時点で殺すように命じました。

  あるレビ人の夫婦に男の子が生まれました。その男の子は何とか殺されないですみました。3ヵ月の間見つからないように隠して育てました。でも、もう隠しきれなくなったので、パピルス製のかごを手に入れて、かごにアスファルトと木のやにを塗って、その中にその男の子を入れて、ナイル川の水辺に浮かべて、そのあとどうなるかを心配しながら見ていました。そうすると、それを見つけた王様の娘が、その子をかわいそうに思い、自分の子として育てることにしました。その子の名前はモーセと言います。モーセは殺されるところを救われたのです。ここに出て来たパピルス製のかごが「アーク(箱)」ということばで表されています。このパピルス製のかごは、赤ちゃんのモーセにとって安全で安心な場所だったのです。モーセの命はこのかごのおかげで救われました。

■次に、出エジプト記25:16を見てみましょう。「わたしが与えるさとし(あかし)をその箱に納める。」

その箱は、あかしの箱とか契約の箱と呼ばれています。この「箱」ということばにも「アーク」が使われています。しかし、厳密に言うと、ヘブライ語では、ノアの箱舟のアークとモーセのかごのアークは同じ語ですが、あかしの箱のアークは異なる語です(タイバウとアウロン)。しかし、両方共「箱」という意味があります。

  幕屋(神殿)の一番奥にある至聖所という部屋に契約の箱は置かれていました。そこは、神様がおられる所であって、年に一度だけ大祭司が入ることができました。この時、大祭司は、動物の血をたずさえて至聖所に入り、契約の箱にその血を7たびふりかけました。それは、罪の赦しのためにそうするのです。契約の箱に血をふりかけることにより、人は罪赦され、聖められて、至聖所の中へはいることができたのです。

  大祭司は、イエス・キリストを表しています。イエス・キリストご自身が十字架で血を注ぐことにより、私たちの罪は赦されました。そして、神の国に入ることができるようにしてくださったのです。

ノアの箱舟もモーセの籠も契約の箱もみなアーク(箱)と呼ばれています。実は、契約の箱の中には、イエス様の救いに関わるものが3つ入っていました。律法と裁きを表わす十戒の2枚の石板、復活と永遠の命を表わすアロンの芽を出したアーモンドの杖、命をもたらす神のことばを表わすマナの入った金のつぼ、これらはイエス様の救いを表わしています。その箱のふたは「贖いのふた」と呼ばれています。英語で、「mercy seat(あわれみの座、罪が赦されるところ)」と言います。イエス様を通して、罪の赦しがあり、復活と永遠の命があることを表しています。

  イエス・キリストこそが真のアーク(箱)なのです。ノアとノアの家族がアーク(箱)に入って救われたように、モーセがアーク(箱)に入れられて救われたように、イエス・キリストというアーク(箱)に入るならば、私たちは救われるのです。アーク(箱)の中は安全で安心なのです。

■Ⅰペテロ3:21が今日のメッセージの中心聖句です。ノアとその家族は大水の中、箱舟の中にいたので安全で安心でした。大雨と大洪水は罪に対する神の裁きでした。しかし、神様の言われることを信じて箱舟をつくり箱舟に乗ったノアとその家族は神の裁きから救われました。ノアにしてもその家族にしても罪がまったくなかったので救われたのではありません。神様の言うことを信じて従ったので救われたのです。

  ノアとその家族はこの箱舟の中で、水を通って救われました。そのことがバプテスマをあらかじめ示した型なのであると、Ⅰペテロ3:21に書かれています。今日、お二人の兄弟姉妹がバプテスマを受けられます。バプテスマは肉体の汚れを取り除くものではありません。つまり、それは、バプテスマを受けたあと、もう二度と罪を犯さなくなると言うことではないのです。自分が罪人であることを認め、しかし、神様の言われることに従って生きていきたい、生きていこうという心の姿勢が神様のみ前にとても大切なことなのです。

  イエス様が死んで復活したように、イエス・キリストを救い主と信じてバプテスマを受けた人は、死んで新しい人に生まれるのです。その人はイエス・キリストの救いの中にあります。イエス・キリストの救いの中は、安全で安心なのです。

  最後に、この漢字のクエスチョンマークのところに、8という数字ではなくて、もっともっと大きな数字が入るように祈りたいと思います。そして、イエス様のことをまだ知らない人々に伝えていきたいと思います。それではお祈りします。